未完成都市 福岡の魅力
九州大学大学院 経済学研究院教授 星野 裕志

2011.3.7

海と山に囲まれて、自然と食が豊かで快適な町。訪れるにも、住むにも楽しい福岡の魅力は、未完成なところにあるのかもしれません。福岡の発展可能性は、この町を完成型と捉えるか発展途上と考えるかにあるのかと思います。

福岡は長くアジアへのゲートウエイと自らを位置づけてきました。韓国の釜山まで高速船で2時間55分。船で海外に日帰り旅行ができる国内で唯一の都市であり、東京よりわずかながらも上海に近いなど、アジアの主要都市への近接性が特色の福岡は、新成長戦略においてもアジアの成長の中に活路を見出そうとする日本にとって、戦略的なロケーションにあることはまちがいのないところです。1989年に市制百年を記念して福岡市内で開催されたアジア太平洋博覧会(よかトピア)は、まだまだ日本の目が欧米に注がれている時期に、アジアを見据えた先進的な取り組みだったといえます。以来、福岡アジア文化賞、アジア太平洋こども会議、福岡アジアマンスの定期開催など、文化的な取り組みや人的な交流事業は持続的に行われています。

一方でその近接性は、いままで必ずしも積極的にビジネスに活用されてはいません。福岡におけるアジア度は、九州経済産業局でも「九州アジア国際化レポート」において毎年定点観測がされていますが、国内の他の大都市と比較しても決して高いとはいえないのが現状です。特に福岡の企業の海外への輸出入や投資、アジア企業の福岡への直接投資は、件数、金額ともに限定的です。1991年の開業以来、福岡と釜山の間に400万人以上の乗客を輸送したJR九州(現在はJR九州高速船)が、唯一企業活動として福岡のアジア度を高めることに貢献してきたといえます。

Economist誌やMercerなどで、「世界で最も住みやすい町(the world’s most livable cities)」と評価される諸都市と比較しても、福岡は都市としてのインフラ、自然環境、クオリティ・オブ・ライフ(QOL)、文化度などにおいて、非常に充足度が高いと考えられます。あとはどのようにその潜在的な能力を開発するかではないでしょうか。
「LLP福岡都市成長戦略プロジェクト」とは、異なる専門分野で活動する4名の研究者と(株)福岡リアルティの産学連携によって、福岡の潜在力を引き出し、2015年を目処にコスモポリタン・シティとして福岡が世界デビューするプラットフォームの構築を目指して設立されたシンクタンクであり、ドウータンクです。単に戦略や方向性の提示だけではなく、小さくても明確な成功モデルを作ることを意図しています。

都市間競争が激化する中で、福岡が持続的に快適な都市である為には、具体的な行動が求められています。ひと、もの、ビジネス、情報の流れが、福岡を中心により活発化することが必要です。アジアの中で成長するべく、人的な交流や物流促進のための作り込み、投資を呼び込む仕組み、市民の意識の国際化などのモデルを企画し、実行していきます。福岡が魅力的な都市であるために、微力ながら貢献できればと考えています。

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